イスラエルの食品企業、培養肉生産施設の設立に数百万ドルの契約締結
3Dプリンターを用いて培養肉・培養魚肉を生産するイスラエルのSteakholder Foods社が、ペルシャ湾に世界初の大規模生産施設を設立するため、認定政府機関である湾岸協力会議(以下、GCC)と、数百万ドル規模の戦略的協力覚書を締結した。
GCCは、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦を含むペルシャ湾岸地域の経済連合だ。(上部画像は3Dプリント技術によりつくられた魚。出典:Steakholder Foods社)
食料安全保障の問題に取り組む
Steakholder Foods社とGCCのパートナーシップ契約の締結は、GCCの定める「地域の食料安全保障の目標」に取り組むことを目的としている。Steakholder Foods社は、バイオ3Dプリンターで培養肉を開発する食品ベンチャーだ。バイオインクと植物性タンパク質を原料に3Dプリンターで培養肉や培養魚肉を生産する。
世界的な人口増の影響もあり、近年では海洋水産物の需要が高まっている。しかしその一方で、過剰漁獲や海洋汚染による漁獲量の減少や品質の低下による供給不足が課題となっている。海洋の汚染や魚の減少などの影響を受けない培養魚肉は、培養肉とともに今後起こりうる食糧危機を解決する方法として注目を集めている。
Steakholder Foods社はこれまで、自社のバイオ3Dプリント技術を使って、2021年に3Dプリンターによる養殖ステーキを、またシンガポールの養殖魚介類の専門家Umami Meats社と共同で開発した世界初の3Dプリンターで養殖魚の切り身を発表している。
Steakholder Foods社のCEOであるArik Kaufman氏は、今回のGCCとのパートナーシップ契約の締結について、以下のように述べている。
「数年にわたる集中的な開発期間を経て、Steakholder Foods社は戦略的パートナーとこの最初の契約を締結し、培養肉産業における企業として初の実質的な収入契約のひとつとなる最初の収入源を得ることができ、大きな一歩を踏み出すことができました。私たちは適切なパートナーを選んだと信じており、共に食糧安全保障の大義を推進し、世界にプラスの影響を与えることを約束します。」
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