中国のフォーミュラEチームが、3Dプリント製の部品を搭載した電気自動車を発表
10月15日、中国のフォーミュラEチームである同済大学DIANレーシング(TJU DIANレーシング)は、2021年シーズンの新車「DRe21」を発表した。
中国の3DプリンターメーカーUnionTechが協力
TJU DIANレーシングが発表した新車「DRe21」は、フォーミュラEチーム。これは化石燃料を使用しない電気自動車のフォーミュラカーによるレースだ。2014年から開催され、電気自動車のF1とも呼ばれている。
電気自動車であるDRe21には、56個の部品が3Dプリンターによって作製されている。これは中国の3DプリンターメーカーのUnionTech社の協力により実現した。
56個部品の作成には、SLA方式と呼ばれる、材料の液体状の樹脂(レジン)に点状の紫外線(UV)を当て、土台から少しずつ樹脂を固めて積み重ねることでデータを出力する3Dプリンターが採用された。
DRe21のフロントウィング、テールウィング、サイドウィング、ダッシュボードなどを含む56パーツの修理はすべて、SLA方式で作製されている。
DRe21は、チームメンバーと一緒に11月に開催される「NIOフォーミュラスチューデントエレクトリックチャイナ(FSEC)」に参加する予定だ。
DRe21の特徴
DRe21は、TJU DIANレーシングに所属する100人以上のメンバーが共同で製造したシングルシートのFSEC用レーシングカー。
DRe21は、過去のデザインのものと比べて多くの革新的な要素を組み合わせている。
カーボンファイバーエアロダイナミクススイートという技術によって補強されたカーボンファイバー製のモノコック構造のボディを採用したことにより、総重量を195kgに抑え、前世代に比べ5%の軽量化を実現した。
パワー面では、4輪独立ハブモーターを採用し、ルールで定められた80kWのパワー制限で450HP / 時 相当の推力重量比を達成し、動的トルク伝達、メインコントロールプログラムの制御下での滑り止めとブレーキのエネルギーの回収ができる。
シャーシが分離されたサスペンションと複数の派生設計構造も特徴的だ。
DRe21発表後の実演走行
DRe21の発表後、UnionTech社はダイナミックな展示の機会を用意した。ドライバーはDRe21をコントロールし、コンビネーションターン、S字型スラローム、エルクテスト、ヘアピンターン、高速ターンなど、さまざまなドライビングテクニックを実演した。車の性能は、現場にいる多くのスポンサーから認められ、賞賛を受けたとのこと。
UnionTech社は、教育および自動車アプリケーション市場の分野で3Dプリント技術の開発に注力しており、3Dプリント技術によるさまざまな業界の統合に取り組んでいる。
昨年、TJU DIANレーシングがFSECのチャンピオンシップを獲得した。UnionTech社は、TJU DIANレーシングとDRe21が今年のFSECでも大成功を収めることを期待している。
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