サンステラ社が3Dプリンター用の食品衛生法に適合する水洗いレジンの取扱開始
サンステラ社は、2023年9月より、Expert Material Laboratories Inc.の3Dプリンター用水洗いレジン「エキマテ」の取扱を開始した。「エキマテ」は食品衛生法に適合する液体レジン材料だ。(上部画像は「エキマテ」出典:サンステラ社)
食品衛生法の軽視がら生じる食品衛生法違反
メルカリなどで人気を博している3Dプリントされたクッキー型は、食品衛生法上の規定を考慮していない材料をもとに3Dプリントされていることが多い。本来は食器などに利用する材料は、食品衛生法の規格に則った安全基準を満たした上で、ポジティブリスト適合確認書の発行などに対応している必要がある。
しかし、多くのユーザーにとって食品衛生法に対応した材料の選択肢が限られてきたことや、食品衛生法に関する意識が薄かったこともあり、食品に触れるクッキー型や食器を3Dプリンターで生産する際に、食品衛生法に対応した材料の利用は限られてきた事情もある。その結果、知らずに安全でない可能性があるクッキー型を購入してしまう一般消費者も多い状況だった。こうした問題を解決するためには、食品衛生法に関する啓蒙活動とともに、入手しやすい材料の登場が待ち望まれるところだ。
食品衛生法に対応した液体レジン材料
エキマテは「光造形にもっと安心と手軽さを。」 をキャッチコピーに医療・スポーツ用のマウスピース素材を改良して、安全性の高い原料から製造されたレジン材料だ。従来のレジンは臭いが強く有害物質を含む場合もあり、造形品の洗浄にイソプロピルアルコール(IPA)などの有機溶剤が必要なため使用出来る環境が限られていた。
一方で、エキマテは食品衛生法に適合した水洗いレジンで、水道水で洗浄できる手軽さはもちろん、安全性の高い原料を厳選し厳格な品質管理のもと日本国内にて製造されているレジンだ。アンチモン、ベンゼンなどの毒性の高い物質や、日本人がアレルギー反応しやすいアレルゲン物質をまとめた「ジャパニーズスタンダードアレルゲン2015」に掲載されている物質を使用していない為、安心して食器づくりなどに利用できるという。
また、低刺激臭で水道水と台所洗剤で洗浄ができ、その洗浄廃液もほとんどの地域で下水に排水できるという手軽さもある。今まで使用出来なかった環境や取り扱いの悪さから光造形3Dプリンターの導入を諦めていたユーザー層にも活用しやすいだろう。
販売店による造形パラメーターの開示
食品衛生法に対応する材料が発売されても、実際に狙い通りの造形を行うことができるパラメーターの開示がないと利用は難しい。2023年以降に発売されたCreality・UniFormationブランドの3Dプリンターにおいて、エキマテの動作を確認し、調整を行ったパラメータ表を今後公開するとしている。
サンステラ社はPolymaker・UniFormation・RAYSHAPEブランドの日本総代理店、Creality・AnkerMake・BambuLab・Tiretime・SHINING 3Dブランドの日本正規代理店だ。今回、「エキマテ」の取り扱いをはじめるサンステラ社は自社の販売する3Dプリンターを利用する際の印刷パラメーターの公開を行うとしている。
【パラメーター公開予定機種】
- UniFormation GKtwo 8K (V2を含む)
- Creality HALOT-MAGE 8K
- Creality HALOT-MAGE Pro 8K
【パラメーター提供製品】
- RAYSHAPE Shape1シリーズ
- RAYSAHPE P200シリーズ
- RAYSAHPE P400シリーズ
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