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日本のVC、米建築3Dプリンター技術によるプレハブ住宅ベンチャーに投資実行

日本でディープテック分野での投資を行うベンチャーキャピタル「Abies Ventures」は運用するファンドを通じてアメリカのMighty Buildings社に投資実行したと発表した。Mighty Buildings社は工場内で専用3Dプリンターが建材を製造しプレハブ住宅のように組み立てて早期建築を実現を目指す独自のアプローチで注目が集まる。

3Dプリンティング×プレハブ工法

Mighty Buildingsは、3Dプリンター建造物や部材を評価するUL 3401規格に基づく認証を取得した最初の企業であり、すでに米国カリフォルニア州で住宅を販売および建築している実績をもつ。

同社の特徴として3Dプリンティングとプレハブ工法を組み合わせるアプローチで住宅建築の生産性を高める。UV硬化プロセスによりほぼ即座に硬化し強度を確保できる独自の3Dプリンター複合材料を開発し「従来の建築工法より作業時間を95%削減し、半分の時間で住宅を建てることができ、住宅建築で生じる廃棄物を9割削減する」としている。

光造形方式で独自の建材を製造している模様で、住宅や部材の工場における生産プロセスの80%を、3Dプリンターによる加工と、ロボットによる仕上げで生産を自動化するアプローチで低価格住宅の供給をめざしているという。

高度に自動化されたプロセスは再生利用可能な材料主体にしているとのことで、、小規模工場で多種多様なデザインの住宅建材を生産する一方で、廃棄物をゼロに近づける環境負荷が低いモノづくりを行っていくとのこと。

2種類の3Dプリンター住宅パッケージ

同社は、2種類の3Dプリンティング住宅を提供しているという。

(1) Mighty Mods

  – 工場で住宅全体を生産し、建設現場に輸送するタイプ

(2) Mighty Houses

 - Mighty Kit Panel Systemモジュールを工場で生産し、建設現場で組み立てるタイプ

今後は米国だけでなく、日本をはじめとするアジア市場への事業拡大を目指して活動をおこない、最終的に同社は、ハウスビルダーや工務店、設計事務所が独自の住宅を設計し、Mighty Buildingsの生産設備を活用して住宅やモジュールを生産し、住宅を建築できるproduction-as-a-serviceの業態になることを目指していく。

現状住宅や建築用3Dプリンターは現地にプリンターを持ち込み、その場で住宅や建造物を造形していく取り組みが主流だったが、工場内で住宅用途に特化した部品製造を行う専用機を活用していくMighty Buildings社のアプローチは、従来の建材製造アプローチと親和性が高い。導入しなければいけない装置の大半を3Dプリンターで実現できることが、初期投資や工場内の作業者数を抑制することに大きく寄与できるのであれば、今後多くのハウスメーカーが取り組みやすいアプローチだといえる。

3Dプリンターへの投資は社会問題を解決するディープテック領域

Abies Venturesは日本のベンチャーキャピタルで、そのコミッティーには孫泰藏氏など著名なシリアルアントレプレナーも参画している。投資分野はディープテックと呼ばれる革新的な技術で、世界に大きな影響を与える問題を解決する取り組みのことを指す。

  • 人工知能、機械学習、ロボット
  • 3Dプリンター
  • 自動運転、空飛ぶクルマ
  • 宇宙飛行、月面探査
  • クリーン電力、代替エネルギー
  • ゲノム編集、寿命延長技術
  • 埋め込み技術、人間拡張(ヒューマン・オーグメンテーション)
  • IoT、センサー、ウェアラブル
  • 精密医療(プレシジョン・メディシン)
  • ニューラルネットワーク
  • 量子コンピューティング
  • ナノ・テクノロジー、合成生物学
  • 没入技術、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)

などが代表的な領域で、いずれもソフトウェアとハードウェア両面での新しい価値創出をおこなうことが求められる新しい領域だ。

住宅用3Dプリンターは、住宅価格を大きく抑制できることは世界中で住宅問題を抱える人々の課題を解決できる。日本においても住宅価格を大きく抑制できるとなれば、老朽化した住宅の建て替えも気軽にできるようになるだろうし、住むことの多様性が一気に花開く可能性も出てくる。多様化する価値観に即したおしゃれな住宅を、安価に購入できる世界観を実現しようという取り組みは個人的にも歓迎したい。

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