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ドイツ西部で同国初の3Dプリンター住宅が完成

ドイツ西部の都市ベックムで、同国初となる3Dプリンターによって建築された2階建て住宅が先ごろ完成した。建物の敷地面積は160平方メートル。この3Dプリンター住宅建設は、ドイツ内のノルトライン・ウェストファーレン州政府による試験的なプロジェクトで、主導しているのは建設・内務・市政平等大臣の Ina Scharrenbach 氏。

使用された3Dプリンターは、ヨーロッパで最初の3Dプリンティング建造物を担当したデンマークのCOBOD社製の「BOD2」だ。同社のドイツ流通パートナーであるPERI社により、ベックムにて3Dプリンター住宅が建てられることとなった。

3Dプリント住宅が住宅の市場を変える

この3Dプリンティング住宅プロジェクトは、従来の建築工法よりも工期が短く、より多様な設計が可能なのかを検討するために実施された。

今回の完成を見て Ina Scharrenbach 大臣は以下のように述べた。

ドイツで初めて3Dプリントされた住宅の完成は、建設業界の追い風を生んでいます。新しい建設テクノロジーは業界の魅力向上やこれまでにないスタイルの近代建築の登場につながります。多くの住宅がより安価に借りられるようにするために、3Dプリント住宅の建築ノウハウを積み、市場で製造プロセスを確立しなければならない。

PERI社の動きが世界の建設業界に影響を与える

今回のプロジェクトで造形された家の外装。2階建てのコンクリートの家といった外見。積層痕があることを除けば、洗練された普通の家といった印象

PERI社は2018年にCOBOD社の株式を取得して以来、COBOD社の3Dプリンター「BOD2」を使用してドイツ国内とアメリカで3Dプリントされた建物を手がけてきた。近年では米アリゾナ州で3Dプリンターによる安価な住宅を建築するプロジェクトを、国際的なNGOで「誰もがきちんとした場所で暮らせる世界」の実現を目指すハビタット・フォー・ヒューマニティと共同で行うことを明らかにした。

同プロジェクトの家の内装。家具がすでに配置されており、積層痕が目立たない。また、部分的に積層痕のある壁を披露することでアクセントにもなっている。

PERI社は世界的に見てもコンクリートの手動鋳造用型枠機器の大手サプライヤーのひとつ。同社の3Dプリント建設への関与は、大きく注目されるところだ。建設業界における未来は、建設の自動化とデジタル化の推進にかかっている。建築用3Dプリンターの活用はその進化に大きく寄与するに違いない。

PERI社はベックムのプロジェクトをどう捉えているか

PERI社のイノベーション&マーケティングディレクターである Thomas Imbacher 氏は、ベックムにおけるプロジェクトの特異性を次のように説明している。

ベックムでの3Dプリント住宅プロジェクトは多くの業界を動かすための大きな節目となるものです。ベックムの3Dプリント住宅はその最初のものであり、PERIにとって、そしてPERIに関係するすべての人々にとって非常に特別なものであり続けるでしょう。

3Dプリンター建設に携わる他の企業が、将来の計画やビジョンについて話すのは珍しいことではない。しかしCOBOD社は、実際に3Dプリントされた建物や構造物を提示することで、3Dプリンター業界でリーダーシップを発揮し続けている。COBOD社製の3D建設プリンター(主にBOD2)を使用して、これからも多くの顧客を掴むだろう。

COBOD社の創設者兼ゼネラルマネージャーである Henrik Lund-Nielsen 氏はこう説明する。

2019年に建設用3DプリンターのBOD2を発売して以来、販売してきた多くの建設用3Dプリンターで成果が見られるようになったことを非常に嬉しく思います。プロジェクトは新型コロナウイルスの影響によって遅れましたが、今では周りからの明らかな期待を感じています。3Dプリンターで建てられた建物と市場に対する大きな関心は、私たちが手がける建設用3Dプリンターが広く普及することに向けられていると思います。

ドイツ初の3Dプリントされた住宅の登場は、今後の住宅業界や建築業界を根本から変えていく第一歩なのかもしれない。

本プロジェクトの進行模様をまとめた動画はこちら

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