Dyndrite社、新たにSMARTスクリプトを発表
米国ジョージア州アトランタのヒルトン・アトランタで開催された2024年ASTMインターナショナル先端製造会議(ICAM 2024)において、GPUアクセラレーションにより次世代デジタル製造のハードウェアおよびソフトウェアの計算エンジンを提供するDyndrite社(スペイン)は、AM向けに初となる「Specimen Management via Automated Resource-efficient Techniques」(SMART)スクリプトを発表した。(上部画像はDyndrite社のプレスリリースより。出典:Dyndrite社)
目次
Dyndrite社とは
Dyndrite社は、GPUアクセラレーションを活用したAM用の高度な計算エンジンとソフトウェアを提供する企業である。同社の「Dyndrite LPBF Pro」は、レーザーパウダーベッドフュージョン(LPBF)プロセスの自動化を支援し、エンジニアや材料科学者が高精度な3Dプリントを効率的に行えるよう設計されている。また、ASTM標準に準拠した「SMARTスクリプト」により、厳格な規制産業における認証プロセスを効率化し、コスト削減と品質向上に貢献している。Dyndrite社は、積層造形業界の自動化と標準化を推進している。
AM認定プロセスを革新するSMARTスクリプト
このPythonベースのスクリプトは、ASTMの素材データおよび標準化(CMDS)コンソーシアムのイニシアチブの一環として開発されたもので、AMにおける特性評価や認定のためのビルドレイアウトの作成方法を革新するものとされる。Dyndrite社のプログラム可能なLPBF Proソフトウェアによって駆動されるこのSMARTスクリプトは、ASTM/ISO標準に準拠したレイアウトの生成を自動化し、従来労働集約的だったプロセスを大幅に効率化する。
SMARTスクリプトによるAMビルド準備の効率化
SMARTスクリプトは、ASTM/ISO規格に準拠したビルドレイアウトを自動生成する包括的なソリューションを提供し、標準化されたテストクーポン、ラベルスキーマ、機械設定、データ管理プロトコルを含む。従来のビルド準備ソフトウェアを用いた手作業では、これらの作業に1週間以上を要していたが、このスクリプトにより数分で完了できるようになった。この煩雑でエラーが発生しやすい作業を自動化することで、メーカーは労力を約99%削減し、人為的なミスを排除しつつ、複数の機械や材料をまたぐワークフローを迅速化できる。
規制産業の持続可能な製造を支える動的最適化と高品質データ管理
当初は中型の単一レーザーLPBFシステムを対象とし、CMDSが開発した部品配置ルールを符号化することで、ビルドレイアウトを動的に最適化するこのスクリプトは、今後のバージョンアップにより、大型のマルチレーザー機やバインダージェッティングなど他の粉末床AMプロセスにも対応していく予定である。このスクリプトはASTMのラベルスキーマを実装しており、全ての試験片に適切なラベルを付け、標準化されたレポートを生成することで、重要な属性を効率的に記録し、高品質なデータの取得を可能にする。
Dyndrite LPBF Proは高度な自動化と制御でAMプロセスを最適化
Dyndrite LPBF Proは、AMプロセスを最適化するために設計された高度なソフトウェアソリューションで、比類なき自動化と制御を実現する。レーザーパウダーベッドフュージョン(LPBF)向けに特化して開発されたこのソリューションは、エンジニアや材料科学者がスクリプト化可能なCADからプリントまでの自動化を構築し、複雑な材料とプロセス開発の研究を行い、認証および校正のワークフローを効率化し、開発から量産へのスムーズな移行を支援する。Dyndrite社の高度なツールパス制御により、薄壁やカンチレバー、ドームといった挑戦的な部品をプリントでき、知識を符号化し、品質を繰り返し再現しつつ、人為的エラーを最小限に抑えることが可能となる。
SMARTスクリプトのリリースは、業界にとって大きな前進を意味する。自動化が積層造形の未来を形作る中、このようなツールは、企業が資格認定プロセスを加速し、労働コストを著しく削減することで、ますます競争が激化する市場環境において、運営方法を変革するだろう。
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